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不動産投資

2018.10.4

状況を受け入れられない男が直面した衝撃の現実、そして男の顛末は……。 Vol.5 

妻は別の男に走っていた……そして浮気相手に助けを求めた結果

俺は、由以子と勇作が抱き合ってキスしている現場を目の当たりにし、動揺を隠せなかった。自分が少し酔っている状態も相まって頭がぐちゃぐちゃにひっくり返されるような感覚を覚え、しばらくは声も出ない。

そんな俺の様子に、勇作と由以子はやっと気づいたようだ。

すると、慌てて勇作から離れようとした由以子に対し、勇作は由以子から唇は離したものの、由以子の腰に回した手を緩めることなく俺を一瞥した。

「お……お前ら……何で……」

やっとの思いで俺は声を絞り出したが、その声は自分でもわかるほど震えていて、さらにその次の言葉を発することができない状態だ。

「何で……?それ、お前が言えること?」

勇作は不敵な笑みを浮かべてそう俺に言う。そしてさらに、

「奥さんをほったらかしにして女と遊んでた男が?」

と勇作は続ける。

どうやら、勇作は俺が寿美香と会っていたことを知っていたようだ。

「勇作……何でそれを」

俺がか弱い声でそう言うと、次は由以子が口を開いた。

「鳥木さんが教えてくれたのよ。昨日、あなたが他の女性とデートしてホテルに行ってたって」

由以子は、今までに俺に見せたことのない悲しい表情をして俺を見据える。

「勇作お前……後をつけてたのか!?」

俺は、勇作が取った行動を察してそう言うと、勇作はにやりとした口の端をさらに上げて、

「本当に俺が思った通りにお前が動いてくれて助かったよ。おかげで……俺は由以子さんを手に入れることができた」

と言う。

「何だそれ……どういうことだ」

と俺が問うと、勇作は待ってましたと言わんばかりに口を開いた。

「お前なんかが由以子さんをモノにしてるのが許せなかったんだよ。だからお前を合コンに誘って、女の誰かに引っかかるのを待ってたんだ」

その勇作の話に、俺は愕然とする。

「お前が……全部仕組んだんだな」

体の底から悔しさが湧き出るのを覚え俺が勇作をにらみつけると、由以子がこう言う。

「鳥木さんは……、絶望に落とされた私を救ってくれたのよ。あなたに裏切られた私を受け入れてくれたの!」

その由以子の語気は、俺が知っている控えめな由以子とはかけ離れたものだった。

そこで俺は初めて、由以子がもの言わぬ人形ではなかったことに気づく。

涙を流しながら勇作に寄りかかる由以子を見ながら、俺は自分が由以子をどれだけ軽視していたかを思い知った。

しかし、これが全部勇作の仕組んだことであれば由以子も勇作に半ば騙されたことになるが、それを言及する気も起きない。俺が由以子を裏切ったことは事実だからだ。

由以子は涙を拭って、

「今日は、家に荷物を取りに来ただけだから。鳥木さんが、しばらく泊めてくれるって」

と言って、俺の横をすっと通り過ぎて家に戻っていった。

そして勇作は、

「お前に止める資格なんてないよな?」

と、勝ち誇った顔で俺を見た後、由以子を追ってマンションに入っていく。

 

俺は、自分のすべてが空っぽになったような気がして、その場にへたり込む。

自分が平凡を抜け出したい一心で刺激を求めた結果、本当はなくしてはいけなかった日常を手放してしまうことになった。もしこのまま離婚することになって慰謝料を請求されたら、今持っている投資用不動産を由以子に引き渡すことも考えなければならない……。

俺は、力の入らない手でスマホを取り出し、寿美香にLINEでメッセージを送ろうと、寿美香のアカウントをタップした。

空っぽなのに苦しいこんな状況には耐えられない。だから、寿美香のもとに行って俺の居場所を作ってほしいと思ったのだ。

そして寿美香とのトーク画面を見ると、寿美香からメッセージが来ていることに気づいた。そこには少し長めの文章が表示されていて、ぼんやりと目を通す。

そのトーク画面には、こんな文章が記されていた。

『もう連絡しないでもらえます?この間セックスしたけど、徹さんが自分本位だったんで何か冷めちゃいました』

俺は、この文章の意味を理解するまでにしばらく時間がかかり、やっと飲み込めたと同時に、俺はやっぱり自分のことしか考えていなかったのだと、その場で膝を抱えるほかなかった。

 

END

 

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