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不動産投資に関する情報メディア

連載

2018.8.11

冴えないサラリーマンは、働かずに済む不動産投資に夢を見るvol.1

「真島くん、ちょっと」

ここは、文房具メーカー「リーフラボ」の企画課。

真島晴人は、上司である課長・小柳祥子にいつものように呼び出しを受けた。

「はい……」

力なく返答した晴人は、今日は何のダメ出しをされるのかと怯えながら、ゆるゆると自分の席を立つ。そして祥子の前に立つと、

「この間提出してくれた企画、詰めが甘すぎるわよ」

祥子は、晴人が出した企画書を無造作に晴人に突き返した。

「『デキる男が必携する文具』ってテーマだけど、具体性が全くない。この手帳のどこにデキる男に訴求するポイントがあるのか明確にしないと、今回も会議に上げるわけにいかないわね」

早速キツいダメ出しを受け、晴人は返す言葉もなくしゅんとしてしまう。

晴人が出す企画はいつもどこか足りない部分が多く、企画会議にまで通されるレベルには毎回のように達していない。そしてその都度、祥子に厳しくダメ出しを受けているのだった。

今回もダメだったか……と晴人が肩を落として

「すみません……」

と言うと、祥子は

「ほんっと使えないわね、あんた」

と冷たくあしらい、晴人に下がっていいと手で示した。

晴人は32歳にして未だに仕事で明確な実績を残せないことから、日々行き詰まりを感じている。

今回の企画でも、「デキる男」がどのような文房具を求めているのか、実際のところ晴人には見当もついていなかった。なぜなら、晴人自身がデキる男ではないからである。

対して祥子は、出す企画が毎回会議で高評価を受けており、実際に商品化されたものも多数ある。その中でも祥子が提案した「ペン型付箋」という、ロール状に巻かれた付箋をペンのように収められる文房具が大ヒットを博し、会社の多大な利益をもたらした実績も持つのだ。

そして祥子はその実績が認められ、35歳にして企画課課長の座に就いているのである。

(小柳課長は仕事もデキるしクールだし、いっつも厳しいし……苦手だなぁ……)

と、晴人は毎日のように祥子に対して近寄りがたさを覚えていた。

おまけに祥子は、社内でも目を引くエキゾチックな美貌と、艶やかな髪を綺麗にまとめたスタイルが凛々しいと評判で、女性に対する耐性がない晴人の心に余計に苦手意識を植え付けている。

 

祥子にキツい叱責を受けた後、晴人は必ず屋上に向かう。

折れそうになった心を、外の空気を吸うことで何とか持ち直そうとするためである。

今日もいつものように屋上へ行き柵にもたれかかり、ぼんやりと眼下に見える民家やマンションなどを眺めていた。

(もしあのマンションの管理人になったら、働かなくてもお金が入ってくるんだよね……)

仕事に限界を感じている晴人は最近、働かずとも生計を立てる方法をぼんやりと模索するようになっていた。その一環として、不動産投資を始めて賃貸物件の経営者になれば、借主から徴収する家賃だけで暮らしていけるのでは、と何となく想像しているのである。

そんなことを考えながら、晴人がぼんやりと眼下のマンションを眺めていると、

「お、晴人じゃん」

と背後から声をかけられた。

「修吾……」

晴人の同期である秦野修吾は、にこやかに晴人に手を振って晴人の隣にやってきた。

「何、また小柳さんにダメ出しされたのか」

早速図星を突く修吾に、晴人は無言でうなずく。

「僕、何でこうなんだろうね……修吾は、営業部でもどんどん結果を出してるのに……」

修吾は営業課のエースと謳われており、実際に売上成績も営業課トップをキープしている。そのため、近々課長補佐への昇進も目されている人物だ。その上、すらりとした長身と端正な顔立ちで女性社員の人気も根強いときている。

「まぁそう気を落とすなって。だって、小柳さんには『もう企画出すな』とは言われてないんだろ?まだ期待されてるってことだよ」

修吾はそういって晴人の肩を叩く。

そう、修吾は仕事がデキるだけではなく、こうしたポジティブな気遣いにも長けている男なのだ。そのため、女性社員のみならず男性の同僚や上司からも信頼が厚い。

晴人は修吾の言葉に励まされながらも、非の打ちどころのない同期にコンプレックスを感じ、

「……そうかな……」

と力なく返すことしかできなかった。

 

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